リンクプリフェッチとは、ユーザーがリンクをクリックする前にブラウザーがリソースを事前取得し、ページ遷移の待ち時間を減らせる場合がある技術である。HTML の <link rel="prefetch"> タグは、将来の遷移で必要になりそうなリソースをブラウザーに伝えるヒントである。Speculation Rules API を使うと、条件を指定してプリフェッチやプリレンダリングを制御できる。MDN (2026 年 9 月時点) では、この API は実験的な機能に分類されている。
対応するブラウザーは低優先度のリクエストを発行し、レスポンスをディスクの HTTP キャッシュに保存する。ユーザーが実際にリンクをクリックした時点でキャッシュからリソースを読み込むため、ネットワークの待ち時間を減らせる。Speculation Rules API では JSON 形式でルールを定義し、URL パターンやユーザーの行動 (ホバー、ポインター移動) をトリガーに事前取得を開始できる。
短縮 URL はリダイレクトを経由するため、1 往復分のレイテンシが加わる。リダイレクト先 URL をプリフェッチしておく方法があるが、MDN (2026 年 4 月時点) によると、多くのブラウザーはキャッシュの分離を実装しているため、別のサイトへ遷移する時の本体の文書には <link rel="prefetch"> が役に立たない。リダイレクト先が別のサイトの場合は、この制約を受ける。リンク一覧ページやメールマガジンのプレビュー画面で、ホバー時に事前取得を始める実装も考えられる。
ただし注意点もある。プリフェッチはユーザーが実際に訪問しないページのリソースも取得するため、モバイル回線ではデータ消費が増加する。またプリフェッチリクエスト自体がアクセスログに記録されるため、クリック数の正確な計測が困難になる場合がある。プライバシーの観点では、ユーザーが意図しないサイトへのリクエストが発生する点に配慮が必要だ。Data Saver モードの検出や、ユーザー設定による制御を組み合わせて実装することが望ましい。