マッチングアプリのプロフィールに、 Instagram や Spotify の URL を貼る。この何気ない行為が、現代の恋愛文化を大きく変えています。 URL は、マッチングアプリにおいて「自分を表現するツール」であり、同時に「信頼性を証明する手段」でもあるのです。
Tinder が 2012 年にサービスを開始した当初、プロフィールに外部リンクを貼る機能はありませんでした。しかし、ユーザーは自己紹介文に Instagram の URL を手入力し始めました。「プロフィール写真だけでは自分を十分に表現できない」「 Instagram を見てもらえれば、自分の日常や趣味が伝わる」という動機です。この行動は急速に広がり、 2015 年には Tinder が公式に Instagram 連携機能を導入しました。現在では、 Tinder ユーザーの約 40% が Instagram アカウントをプロフィールにリンクしています。 Bumble は Spotify 連携を導入し、好きな音楽のプレイリスト URL をプロフィールに表示できるようにしました。「音楽の趣味が合う人と出会いたい」というニーズに応えた機能です。
しかし、マッチングアプリと URL の関係には暗い側面もあります。多くのマッチングアプリは、チャット内での URL の送信を制限または禁止しています。その最大の理由は、ロマンス詐欺 (恋愛感情を利用した詐欺) の防止です。詐欺師は、マッチングアプリで知り合った相手に信頼関係を築いた後、「この投資サイトで一緒に稼ごう」「このサイトで本人確認をしてほしい」などと言って、フィッシングサイトや詐欺サイトの URL を送りつけます。 FBI の 2023 年報告によると、ロマンス詐欺の被害額は米国だけで年間約 13 億ドル (約 2,000 億円) に達しています。恋愛心理に関する書籍は Amazon でも探せます。
短縮 URL は、マッチングアプリにおいて特に警戒される存在です。 Tinder 、 Bumble 、 Hinge などの主要アプリは、チャット内で短縮 URL を送信すると自動的にブロックまたは警告を表示する仕組みを導入しています。短縮 URL はリンク先が見えないため、詐欺サイトやマルウェア配布サイトへの誘導に悪用されるリスクが高いからです。一方で、この制限は正当な URL の共有も妨げます。「面白い記事を見つけたから共有したい」「一緒に行きたいレストランの URL を送りたい」という場面で、短縮 URL がブロックされるのは不便です。
マッチングアプリの URL 文化で最も興味深いのは、「リンクツリー」 (Linktree) の爆発的な普及です。 Linktree は、複数の SNS アカウントやウェブサイトの URL を 1 つのページにまとめるサービスで、 `linktr.ee/ユーザー名` という 1 つの URL で自分のすべてのオンラインプレゼンスを表現できます。マッチングアプリのプロフィールに Linktree の URL を貼ることで、 Instagram 、 Twitter 、 TikTok 、ブログ、ポートフォリオなど、自分のすべてを 1 つのリンクで伝えられます。 Linktree のユーザー数は 2023 年時点で 5,000 万人を超えており、その成長の一因がマッチングアプリ文化にあると言われています。 URL は、恋愛においても「自分を伝える手段」として進化し続けているのです。