ブラウザフィンガープリント (Browser Fingerprinting) とは、ユーザーのブラウザーやデバイスが持つ固有の特徴 (画面解像度、インストール済みフォント、プラグイン、タイムゾーン、言語設定、GPU 情報など) を組み合わせて、個々のユーザーを識別する技術です。
Cookie がブラウザーに保存され、ユーザーが削除やブロックできるのに対し、フィンガープリントはブラウザーが Web サイトに送る情報や、ページのスクリプトが読み取る情報で構成されるため、ユーザーが気づかないうちに追跡される場合があります。EFF (Electronic Frontier Foundation) の Peter Eckersley による 2010 年の論文では、Panopticlick を訪れたプライバシー意識の高い利用者のブラウザー 470,161 件のうち 83.6% のフィンガープリントが一意でした。
フィンガープリントの主な構成要素は、User-Agent 文字列、画面解像度とカラー深度、タイムゾーンと言語設定、インストール済みプラグインとフォント、Canvas フィンガープリント (Canvas API で描画した画像のハッシュ値)、WebGL フィンガープリント (GPU のレンダリング特性)、AudioContext フィンガープリント (オーディオ処理の特性) です。
短縮 URL サービスのクリック解析では、Cookie が使えない環境 (サードパーティ Cookie のブロック、プライベートブラウジング) でのユニークユーザー推定にフィンガープリントが活用される場合があります。ただし、EU の第 29 条作業部会は意見 9/2014 (2014 年 11 月採択) で、端末の情報へのアクセスに同意を求める ePrivacy 指令第 5 条 3 項がフィンガープリントにも適用されるとしており、プライバシー規制への準拠が必要です。
フィンガープリントへの対策として、Firefox は Enhanced Tracking Protection で既知のフィンガープリントスクリプトをブロックします。Safari のエンジンの WebKit は、Web ページから見えるフォントを OS 付属のものと Web フォントに限る、User-Agent 文字列を小さな更新では変えないといった変更でフィンガープリントの手がかりを減らしています。Brave ブラウザーは API の値の一部をランダム化しています (2026 年 10 月時点の WebKit と Brave の文書)。