Web 上のユーザー行動を追跡する仕組みは長らく Cookie が中心でしたが、Apple ITP (Intelligent Tracking Prevention) や Mozilla ETP (Enhanced Tracking Protection) によるサードパーティ Cookie の制限 (Google Chrome は段階廃止を計画していましたが、2024 年 7 月に撤回し、2025 年 4 月に現状維持を確定) や各国の規制によって、Cookie に頼る追跡が使えない場面があります。短縮 URL のクリック計測は、Cookie に頼らずに数えられる方式です。
Cookie の基礎を整理すると、ファーストパーティ Cookie は閲覧中のドメインが発行する Cookie で、ログイン状態の保持や買い物カゴの保存に使われ、現在も標準的に利用可能です。一方、サードパーティ Cookie は閲覧中のドメインとは別のドメイン (広告配信、計測タグなど) が発行する Cookie で、複数サイト横断の追跡に使われ、Safari が既定でブロックし (2020 年 3 月の発表)、Firefox などのブラウザーも制限しています。
短縮 URL のクリック計測は、リダイレクトサーバーが受信するリクエスト情報 ( IP、User-Agent、Referer、リクエスト時刻) のみを使うため、Cookie に依存しません。そのため、サードパーティ Cookie の制限の影響は受けません (2026 年 10 月時点)。 Apple Safari や Brave のような Cookie 制限が強いブラウザーでも、短縮 URL のクリックイベントは記録されます。
サードパーティ Cookie の制限に代わる計測には、Server-Side Tagging (サーバーサイドタグ) と Conversion API という方法があります。 Google Tag Manager Server-Side、Facebook Conversions API、LinkedIn Conversions API などが代表例で、ブラウザーではなくサーバーから直接プラットフォームの API にコンバージョン情報を送信する仕組みです。短縮 URL のリダイレクトサーバーから Conversion API を呼び出し、広告の効果を測る構成も考えられます。
フィンガープリント技術 ( Canvas Fingerprint、Audio Fingerprint、WebGL Fingerprint) はユーザーを識別する別の方法ですが、Apple ITP や Brave のように対策を入れているブラウザーもあります。プライバシー規制 (GDPR、CCPA、改正個人情報保護法) の下では、フィンガープリントの利用も同意の扱いが論点になります。プライバシーに配慮した計測には、ファーストパーティ Cookie + Server-Side Tagging + 短縮 URL の組み合わせが選択肢の 1 つになります。
Privacy Sandbox は Google Chrome が推進してきたサードパーティ Cookie の代替フレームワークで、Topics API ( ユーザーの興味カテゴリのみを共有) や Attribution Reporting API (コンバージョン情報の差分プライバシー的な集計) などを含んでいました。しかし Google は 2024 年 7 月に Cookie 廃止方針を撤回し、2025 年 10 月には Topics API や Attribution Reporting API を含む主要 API の廃止を発表しました ( FedCM や CHIPS など一部は継続)。広告計測では、サーバーサイド計測と Conversion API を使う構成もあります。
個人情報保護法 (改正 2022 年 4 月) のガイドライン (2026 年 10 月時点) では、Cookie 等の端末識別子を通じて集めた、ある個人のウェブサイトの閲覧履歴が個人関連情報の事例に挙げられ、GDPR でも Cookie の扱いが論点になります。改正法には、Cookie などの個人関連情報を第三者に提供する場面の規律 (第 31 条の本人の同意の確認) が設けられており、短縮 URL のクリック情報もこれに当たる可能性があります。日本の外部送信規律 (2026 年 10 月時点) により、対象のサービスで利用者に関する情報を外部に送らせる場合に、通知又は公表、同意取得、オプトアウト措置のいずれかを行うことが求められます。
Cookie とトラッキングを取り巻く環境では、プライバシーと計測の両立が論点です。短縮 URL の Cookie に頼らない計測は、Server-Side Tagging や Conversion API との組み合わせを考える材料になります。