Twitter の 140 文字制限は、短縮 URL の歴史を語るうえで避けて通れないトピックです。しかし、「なぜ 140 文字だったのか」を正確に答えられる人は意外と少ないのではないでしょうか。答えは SMS (ショートメッセージサービス) にあります。 SMS の 1 通あたりの上限は 160 文字で、 Twitter の共同創業者ジャック・ドーシーらは、ユーザー名に 20 文字を残し、本文を 140 文字とする設計を選びました。 2006 年の Twitter 初期は、ツイートを SMS 経由で投稿・受信できる仕組みだったため、 SMS の制約がそのまま Twitter の文字数制限になったのです。この 160 文字という SMS の上限自体にも面白い由来があります。 GSM (Global System for Mobile Communications) の規格策定に携わったドイツの通信技術者フリードヘルム・ヒレブランドが、はがきや業務連絡の文章を分析した結果、「ほとんどのメッセージは 160 文字以内に収まる」と結論づけたことに基づいています。つまり、 Twitter の 140 文字制限は、 1980 年代のドイツ人技術者のはがき分析にまで遡るのです。
140 文字の世界で URL を共有することは、想像以上に困難でした。 2008 年当時の一般的な URL は 50 〜 100 文字程度で、 URL を貼り付けるだけでツイートの半分以上が埋まってしまいます。残りの文字数では、リンクの内容を説明するコメントをほとんど書けません。この問題が、 bit.ly や is.gd などの短縮 URL サービスの爆発的な成長を後押ししました。 2000 年代後半には、 Twitter に流れるリンクの多くが短縮 URL の形で共有されるようになりました。 Twitter 自身もこの状況を認識し、 2010 年代の初めに独自の短縮 URL サービス `t.co` を導入しました。 `t.co` の導入以降、 Twitter に投稿されるすべての URL は自動的に `t.co` で短縮されるようになり、ユーザーが外部の短縮 URL サービスを使う必要性は大幅に減少しました。
2017 年、 Twitter は文字数制限を 140 文字から 280 文字に拡大しました。この変更により「短縮 URL の需要は減るのでは?」と予想する声もありましたが、実際にはそうなりませんでした。その理由は 3 つあります。第一に、 280 文字に拡大されても URL の長さは変わらないため、長い URL が投稿の可読性を損なう問題は依然として存在します。第二に、短縮 URL はクリック追跡やリダイレクト管理といった付加価値を提供しており、文字数の節約だけが存在意義ではなくなっています。第三に、 Twitter 以外のプラットフォーム (LINE 、 SMS 、メール、印刷物) では依然として文字数やスペースの制約があり、短縮 URL の需要は衰えていません。
文字数制限と短縮 URL の関係は、 Twitter だけの話ではありません。中国の微博 (Weibo) もかつて 140 文字制限を採用していました。中国語は 1 文字あたりに込められる情報量が多いため、同じ 140 文字でも英語より書ける内容は多くなります。その微博も 2016 年に投稿の上限を大幅に緩和し、長文を 1 件の投稿として書けるようにしました。タイムライン上では冒頭だけが表示され、続きは折りたたまれる方式です。微博は独自の短縮 URL サービス `t.cn` も運営しています。韓国の Kakao Talk は長い文章もそのまま送れますが、リンクプレビューの表示領域は限られているため、短い URL のほうが収まりが良くなります。日本の LINE も同様で、トーク画面でのリンク表示は URL の長さに影響されるため、短縮 URL の利用が一般的です。面白いことに、文字数制限がないプラットフォームでも短縮 URL が使われ続けている事実は、短縮 URL の価値が「文字数の節約」から「リンクの管理・分析・美観」へとシフトしていることを示しています。 SMS の 160 文字制限から始まった短縮 URL の物語は、文字数制限が緩和されたあとも、新たな価値を見出しながら続いています。